『BLフォビア』について思うこと

@pixivwatch「Pixivでは何故腐女子が目立つのか、そして叩かれてしまうのかを考える」
@y_arimの中の太宰「Pixivじゃない。あなたが、叩くのでしょう?」
http://togetter.com/li/7757

情報盛りだくさんなのでざっくりしか読めてないのだけれど。
前々から思ってたネタをざくっとまとめてみる。


なんかこういう人って「BLフォビア」だなぁ。と思う。

言い回しとしての例

もうね、どれだけ嫌か、エロ本を読んでる男の人の姿を見ることが。

って言ってる有名人もいるらしいけど、これとBLフォビアな人の反応って似てる気がする。

もうね、どれだけ嫌か、BL読んでる女の人の姿を見ることが。

ってことでしょ?
といってもこれは言い回しが当てはまるから引っ張り出しただけで、別にこのせりふを言った芸能人とBLフォビアの人が同じこと考えてるって言いたいわけじゃない。

「エロい視点の矛先=女性」のかたちが崩れるからこわがっているんじゃないの?

「性犯罪の被害者」って言葉があったとき、その対象が「女性」であることを疑う人って、少なくとも今の日本ではそう多くはないと思う。
「エロ本」と言って、そのグラビアが「女性の姿」でなかった場合、驚く人のほうが多いと思う。

そのくらい、「エロい視点の矛先=女性」って図式は、「あたりまえ」になってしまっている。
多くの女性も男性も、そのことを、当然のように受け入れている。


だから、男性は「エロい視点の矛先」になることに慣れてない。
多くの女性はエロ本がコンビニに並んでいても、恥じることなくそれを目の前で購入する男性がいても、別になんとも思わない。
ちょっとはいやな気分になったり、きもちわるいと思ったりする人もいるかもしれないけれど。だからって見ず知らずの人に対して、「女性店員相手にエロ本買うなんて!」と噛み付く人なんて、そうそういないでしょう。
その「エロ本」に載っているのが自分と同じ女性だということは知っているけれど、「だからどうした?」と切り離せる程度に、どうでもいいものだから。


ただ、「エロい視点の矛先」になることに慣れてない女性、たとえば10代そこそこくらいの少女。
よくある話ですが、そして少年も含む話ですが、性に対して激しい嫌悪や拒絶を示す時期があるわけで。
たしかにそういう時期は、「エロ本買う男子なんてサイテー!」「ちょっとエッチな描写のある少年漫画がキモチワルイ」なんて考えたりもするんです。でもそのうちに慣れてくる。「しょうがないこと」「どうでもいいこと」になって、そのうち意識にも上らなくなる。


でも男性は、性に対して嫌悪するような時期があったとしても、やはりメディアは「女性が矛先」。だから、女性が「しょうがない」「どうでもいい」と消化していく際に一緒に咀嚼する、「自分もこんな風に見られるのだろうか」みたいな不安と恐怖を知らないまま、成長する。
そこに掲載されている「女性」は、ただ性別だけの共通項しかなくて、別に自分が投影されるものじゃないと、割り切る。


自意識過剰乙、と言われても、まだ自己があやふやしている子どものころに、エロ本に掲載されている「女性」と「自分」がどこかで繋がってると感じることなんて、ふつうにあることでしょう。
それはたとえば、RPGの主人公が男の子だから、自分もいつかそうなれると信じる男の子と、自分は女の子だから勇者にはなれないんだ、と考える間もなく思い込んでしまう女の子、みたいな気持ちで。


話がずれがちだけど。
男性は、「性的な視点の矛先に、男性が置かれる」ことに慣れていない。だから10代の少女みたいに、そこに描写されている「男性」と「自分」の距離のとり方がわからず、怯えるんじゃないだろうか。その結果が、激しいBLフォビア。


……なんじゃないかなぁ。とか。


多くの男性がエロ本の対象と自分を切り離すための通過儀礼を経ることのない成長の仕方をしたっていうのは、現代日本じゃふつうのことかもしれないけれど。
腐向けとかBLとかに限らなくても、「性的な視点の矛先が男性」である表現に対して、やたら拒否反応や嫌悪感が強い男性の意見ってネットじゃよく見るけど。

ほとんどの女性はそこを越えてきたんだよ。だから、別に男性のエロ本に何を言う気もないよ。同じように、消化してくれる気はないかな?あのエロ本に載っている男は、自分と何の関係もない、ただ男という記号が共通しているだけだってこと。

あなたが投影されているわけじゃないんだよ。



「女性がエロ本読むなんて」「女性のためのエロメディアがあるなんて」とかその時点で拒否されるともう、時代錯誤乙、と言うしかないんですけど。



BLとかやおいとかjuneとかジェンダー云々とか性指向とか性自認とか性教育とか、そういうとこはざくっとすっとばして。


男性はエロの対象にされることに慣れてないから、「男性が主題にされてる」ってだけでBLとか腐向けとかを反射のようにして嫌がる/怖がるんじゃないか。
女性はエロの対象にされるもんだと思って成長したから、「それ」と自分を切り離すことに慣れてる。だから男性向けの女性を主題としたエロ本を無視できる。

「女性に向けて描かれた、男性をエロ視点の矛先にしている娯楽メディア」が「ふつうにあるもの」になれば、BLフォビアの声も落ち着くんじゃないかなぁ。


たとえば離婚の話とか、自分が幼い頃はすごくタブーだった気がするんだけど。今はワイドショーでもドラマでも、小説や漫画でも、そしてご近所づきあいの会話でもよく見る気がする。少なくとも、話が出た途端眉をひそめるようなものではなくなった。


別にBLややおいに市民権を!もっと知られるべき!もっと受け入れられるべき!とか思ってるわけじゃない。
ただ、娯楽の1ジャンルとして、放っておいてもらえればいいと思う。ただそれだけ。
少女マンガがきらいだとか、バトル漫画がきらいだとか、あの雑誌がきらいだとか、あのTV番組がきらいだとか、あの芸能人がきらいだとか。そういう程度にきらわれるんなら理解できるんだけど。反射的なBLフォビアはもうちょっと冷静に、どうしてそんなに嫌がるのさ、というとこに立ち戻って欲しいと思う。


自分が整理できない個人的な嫌悪感を、「腐女子が」「BLが」ってひとまとめに叩こうとするのは、ちょっと違うんじゃないのかと思う。



ざっくりまとめるつもりだったのに長くなりすぎたでござるの巻(´・ω・`)